人間の口から出る音のうち最も本質的と言えるものは歓喜や驚愕、恐怖等々の意図せずに発せられる音であろう。笑い声、喚き声、呻き声、をめき声などである。一方、考えながら調音して発せられる会話音は、これは言わば人工的な二次的な音である。そこで、現在「こわ/こゑ(声)」と言われているものは、本来はワ行渡り語「わ」「ゐ」「wu」「ゑ」「を」であったと考えてよい。と言うことは、「こわ/こゑ」はコ接語「こ+わ/ゑ」ということになる。いつの頃か「わ」「ゑ」などが接頭語「こ」をとって、それで通常の会話音を「こわ/こゑ」と表現するようになったと考えられる。
このことは「さわぐ」「ざわざわ」系統の(sw)語にも言える考えられ、別記する。
完