堅いものを細かくすることを言う動詞は「くだく(砕く)」が代表的である。力まかせに叩き割ることで、和人は「k」と「d」の音に堅いイメージを抱いていたようである。子音ごとに語を振り分けて見るとそのように言うことが出来る。
もう一方の「けづる(削る)」は、「ゆげ(弓削)」の語が残っているように、これは然るべき木材から鉄の刃物で弓を削り出す意とされている。しかしそれでは「くだく」とはかなり状況が異なり、もうひとつピンとこない。「くだく」との間に万年単位の距離がありそうである。或いは石刃(石包丁)で肉や魚を細かくすることが本意であったかも知れないが、それでも柔らかい肉や魚が相手では「くだく」との意味が合わない。苦し紛れに、石刃で木や竹の串を作る作業と見ても、それも「くだく」とは遠い。難問である。
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き( )-きだ(段 )-きだむ(段だむ)「きだ段、」「きざむ刻〔(d-z)相通語〕」
く( )-くづ(砕づ)-くだく(砕だく)-くだかる-くだかれる「くづ屑、おがくづ、のこくづ鋸屑」
-くだける
-くだす(降だす)-くださる-くだされる
-くだつ(降だつ)
-くだる(下だる)
-くづす(崩づす)-くづさる-くづされる
-くづふ(崩づふ)-くづほる-くづほれる
-くづる(崩づる)-くづれる
け(削)-けづ(削づ)-けづる(削づる)-けづらる-けづられる「ゆげ弓削」
こ( )-こだ(傾頽)-こだる(傾頽る)「ゑみこだる笑興、をれこだる折傾」
-こづむ(偏づむ)
「きだ/きざ段*寸、みきだ三段、やきだ八段、きだきだ、きだむ;きざきざ、きざはし階、ときのきざみ漏刻」
完