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わ:「わ(藁)」(「わら(わ+ら接尾語)」は本来一拍語「わ」と考えられる。「わた(綿)」は不詳である。)
ゐ:「ゐ(藺)」「ゐぐさ藺草、あしゐ葦藺、あらゐ荒藺、おほゐ大藺*莞、ふとゐ太藺」
wu:「wu(麻)」「wuむ(績む/続む)」
ゑ:
を:「を(麻)」「をむ(績む/続む)」
そ:「そ(麻)」(「を」の(w-s)相通形)
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wu(麻)-wuむ(績む/続む)「wuみを(続麻)、をwuみ(麻績)」
を(麻)-をむ(績む/続む)「をみ(麻績)」
-をる(織る)-をらす(織らす)-をらせる
-をろす(織ろす)〔記仁徳〕
お( )-おる(織る)(w-&相通形)
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和人は、日々の生活に不可欠な資材の原料になる草を関連づけて命名したであろう。とても偶然とは考えられない。筵や草履用の「わ(藁)」、敷物に用いられる「ゐ(藺)」、着物に欠かせない「wu/を(麻)」がきれいに揃っている。”藁”は「わ+ら」で、「わ」が資材/草の名前で「ら」は接尾語であることは明らかである。ただ「わ」という草があったかどうか。いずれも3万年(?)後の今日もなおそのままその名で使用していることに驚かされる。
現行のア行語「おる(織る)」は明らかにワ行語「をる(麻る)」が忘れられた後の形である。「そる(麻る)」もあったかも知れない。いつの頃か和人はまず「を(麻)」から「をり(織り)」はじめ、次いで絹や木綿に移っていったのであろうが、「をる(麻る)」は変わらなかった。或いは「をる」が「おる」となって汎用性をもち、絹や木綿にも適用されるようになったということかも知れない。
”wu”については、”wuがやふきあへずのみこと”の”wuがや/wuかや”が注目される。さまざまな漢字表記はともかく、「wuがや(鵜羽*鵜草)」「wuがや(海草)」は考えられないので、第三の「wuがや(〇草)」があった可能性がある。未知の「wu」草である。「wu(卯)-wuのはな(卯の花)」は別語であろう。完