”渡り語”の例をさらにもうひとつとりあげる。同じカ行渡り語である。別に和語辞書をつくる中ですべての渡り語を拾い出しているが、これは和語の成り立ちを考える上で最大の課題のひとつである。「語」というものの概念を問い直すことを迫られる。
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か(瓮):ひらか(平瓮)、みか(御甕)
き(棺):wuき(坏*杯)/つき/すき、ひつぎ(人棺)(「ひとき」の転か)
く:
け(笥):くしげ(櫛笥)、をけ(麻笥*桶)
こ(籠):「こもよ、みこもち」(m1)、あらこ(荒籠)、かご(籠)、しこ(矢壺*尻籠)、はこ(箱)、ふご(畚)、ふせご(伏せ籠)
「はこ(箱)」は「かこ/かご(籠)」の頭語「か」の(k-h)相通語か。この「か/は」は特に意味をもつものではなく、一拍語を安定させるための接頭語と見られる。完