「かく(掻く)」と「こく(扱く)」カ行渡り語 (104)

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か(掻)-かく(掻く)-かかす(掻かす)-かかせる〔(背中を)掻く、ひっかく〕「かきとる掻取」
           -かかる(掻かる)-かかれる
き( )
く( )
け( )
こ(扱)-こく(扱く)-こきる(扱きる)「yiねこき稲扱、こきばし扱箸」

 

ア接:あがく(あ+かく掻)〔「あがく」は「足掻く」ではなく、単なる前接語〕
イ接:いかく(い+かく掻)
シ接:しごく(し+こく扱)-しごかる-しごかれる「扱く」
ス接:すごく(す+こく扱)
ヒ接:ひかく(ひ+かく掻)〔「ひっかく」は「ひかく」の後の語形〕
ミ接:みがく(み+かく掻)-みがかす-みがかせる「磨く」
             -みがかる-みがかれる
モ接:もがく(も+かく掻)「踠く」

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 「かく(掻く)」と「こく(扱く)」が縁語であることは「かきとる」「こきとる」と並べて見るとよりはっきりするであろう。

 

 「あがく」は、馬が「足掻く」のではなく、また馬にだけ使うのではない、じたばたする意の単なるア接動詞である。この列島に馬がもち込まれる遥か前から「あがく」の語はあったのである。別に一覧表にまとめるように、「あがふ(贖ふ)」「あがむ(崇む)」など多数の類似のア接動詞が存在する。完