”かける”意の一拍語「か」縁語群 (102)

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か(掛)-かく(掛く)=かかぐ(掲かぐ)-かかげる-かかげらる-かかげられる
           -かかす(掛かす)
           -かかふ(抱かふ)-かかはる
                    -かかへる-かかへらる-かかへられる
           -かかる(掛かる)-かからふ「かからはし」(”罹患する”意も)
           -かける(掛ける)-かけらる-かけられる(”賭ける”意も)
    -かす(課す)(架す)〔労役や税を課す、ケーブルを架設する、など〕
    -かつ(担つ)-かたぐ(肩たぐ)-かたげる
           -かつぐ(担つぐ)-かつがす-かつがせる「「かた肩」の縁語か」
                    -かつがる-かつがれる
    -かる(掛る)=かがる(縢がる)
           -からぐ(絡らぐ)-からがる「こんがらがる」
                    -からげる「(着物の裾を)からげる」
           -からぶ(絡らぶ)
           -からむ(絡らむ)-からます-からませる
                    -からまる-からまれる
                    -からめる-からめらる-からめられる

 

 この一拍語「か」は、地べたにあるものを持ち上げて宙で処遇することの語群で、自分の肩に”か”けたり近くの木の枝に”か”けると見るのが分かりやすい。しかし上図にあるように、課税や処罰、賭けるのような抽象的な行為もこの”か”で表現していると考えられる。そのことは「かく(掛く/懸く/舁く/賭く/架く)」「かす(課す/科す/嫁す/架す)」等々の多様な漢字表現で示されている。理屈では、これらの行為、行動、動作を一拍語「か」で全てカバーする時代があったことになる。

 

 二拍動詞「かる(掛る)」は今日に伝わらなかった。完