動詞図『カ行、「か/き/け(着)、きす(着す)、きる(着る)」』(015)

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「か/き/け(着)、かく(着く)、かす(着す)、かる(着る)、きす(着す)、きる(着る)、けす(着す)、ける(着る、はく(佩く)」

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か(着)-かく(着く)

    -かす(着す)

    -かる(着る)

き(着)-きす(着す)-きさす(着さす)-きさせる「きほし着欲、きもの着物」

           -きせす(着せす)

           -きせる(着せる)-きせらる-きせられる

           -きそふ(着そふ)

    -きる(着る)-きらる(着らる)-きられる

           -きれる(着れる)

け(着)-けす(着す)「(神の)みけし御着」

    -ける(着る)

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は( )-はく(履く)-はかす(履かす)-はかせる「みはかし御佩刀」(k-h相通語)

           -はける(佩ける)

    -はぐ(矧ぐ)「やはぎ矢矧」〔矢柄に矢羽や矢尻をとりつける〕

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 ここで最後の「はく(佩く)」「はぐ(矧ぐ)」について注記しておきたい。 

 

 「は、ひ、ふ、へ、ほ」のハ行音(拍)は、勿論いくつかの意味をもっているわけであるが、その中で別項の動詞図に見られるように広く”物と物とを引き離す”という意味をもっている。例えば「はぐ(剥ぐ)-はがす」である。ところが、動詞図ではすぐその前に上記の「はく(穿く*佩く*履く)」「(矢を)はぐ(接ぐ/矧ぐ)」が出てくる。これではまるで反対で、ハ行音は「”物と物とを引き離す”という意味をもっている」という説明が説得力をもたなくなる。 

  

 だがここで和語における相通現象の登場で、上記の「かく(着く)」は(k-h)相通によって「はく」に変形し、それがハ行語として”物と物とを引き離す”語群の中に紛れ込んでいたと考えられる。こうして「はぐ剥」語群の中に「はく(穿く)」語があることの不可解が解消される。本来的に無関係なのである。因みに「かく(着く)」は、消滅して今日に残らない。これは恐らく「かく(着く)」の「かく(掛く*懸く*舁く)」との意味的な近さから、自身は「はく」に姿を変えて生き残ったものであろう。「かく(着く)」と「かく(掛く)」は本来同語と見ることができる。

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