動詞図『カ行、「カ動詞まとめ」』(025)

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「かく(櫂く)、こぐ(漕ぐ)」

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か( )-かく(櫂く)-かかす「かき/かい櫂」「かこ(楫子)」「かぢ(楫*梶)」

こ( )-こぐ(漕ぐ)-こがす(漕がす)-こがせる

 

 舟を「かき/かい(櫂)」で「かく」のも「こぐ」のもいずれも舟を”前進させる”意であろう。ここで分からないのは「かこ楫子」「かぢ楫*梶」である。「かこ」は「かい」で舟を漕ぐ人か、船尾で「かぢ」をとる人か。これは舟の構造の歴史の問題で、国語からは手がつけられない。「かぢ」は不詳語である。

 船を「こぐ」のも稲を「こく」のもよく似た動作であり、国語音との関連が感じられる。もとは模写語か。

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「かさ(嵩)」

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名詞   かさ(嵩 )-かさぬ(重さぬ)-かさなる

                    -かさねる

           -かさぶ(嵩さぶ)-かさばる

           -かさむ(嵩さむ)

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「かざす(翳ざす)、かざる(飾ざる)」

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か( )-かず(  )-かざす(翳ざす)-かざさる-かざされる「かざしあふぎ翳扇」

           -かざる(飾ざる)-かざらす-かざらせる「かざりたち飾太刀」

                    -かざらふ

                    -かざらる-かざられる

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「かしふ(呪詛ふ)、かしる(呪詛る)」

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     かし(呪詛)-かしふ(呪詛ふ)

           -かしる(呪詛る)「かしり」

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「かす(淅す)、かつ(浸つ)」

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か( )-かす(淅す)-かしく(炊しく)「かしみづ淅水、かしよね淅米」

           -かしぐ(炊しぐ)

    -かつ(浸つ)

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「かす(和す)、かつ(合つ)」

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か( )-かす(和す)

    -かつ(合つ)〔合わせる〕「"かて"て加へて」

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「かす(憔悴)」

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か( )-かす(憔悴)-かしく(憔悴く)-かしかむ「かしけゆく〔痩せこける〕」

                    -かじかむ(寒さで手足の指が動かなくなる)

                    -かしける「かしけゆく〔痩せこける〕」

                    -かじける

           -かせる(悴せる)「かせくび悴首、かせさむらひ悴侍、かせやまひ悴病」

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「かす(幽す)、くす(掠す)」

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か( )-かす(幽す)-かすむ(霞すむ)-かすめる「かすか幽、かすむ霞~かすみ霞」《かすかす》

           -かする(掠する)

           -かすwu(掠すwu)-かすゐる(掠ゐる)

           -かそぶ(掠そぶ)「かそけし」

く( )-くす(掠す)-くすぬ(掠すぬ)-くすねる《くすくす》

           -くすむ(掠すむ)「くすみ」

こ( )-こそ(  )《こそこそ》

 

 ここに「かすみ霞」が入るかどうか。これらは(ks)模写語をもとにする語群で、「する(擦る/磨る)」意の「す」のカ接語「かする」、コ接語「こする」などとは別語である。

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「かず(数)、かぞふ(数ふ)、かずむ(数む)」

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か( )-かず(数 )-かずふ(数ずふ)

           -かずむ(数ずむ)-かずまふ

           -かぞふ(数ぞふ)-かぞへる

 

 その昔木の幹や泥壁に傷をつけて物を数えたり記録したとされているが、「かず/かぞふ、きず傷、かじる」などと(kz)縁語か。「きざむ刻」は「きだむ段」の項に入れたが、ここに入ることも考えられる。

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「かつ(搗つ)」

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か( )-かつ(搗つ)〔臼でつく〕「かちぐり(搗栗)」

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「かつ(糅つ)」

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か( )-かつ(糅つ)-かてる(糅てる)(まぜる、混ぜ合わせる、かてて加えて)万3829

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「かつ(勝つ)」

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か( )-かつ(勝つ)-かたす(勝たす)-かたせる「おもかつ面勝、まかつ目勝」

           -かてる(勝てる)

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「かぬ(兼ぬ)」

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    -かぬ(兼ぬ)-かねる(兼ねる)

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「かぬ(叶ぬ)」

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か( )-かぬ(叶ぬ)-かなふ(叶なふ)-かなへる-かなへらる-かなへられる

           -かなる(叶なる)

           -かねる(兼ねる)

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「かふ(躱ふ)」

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か( )-かふ(躱ふ)-かはす(躱はす)「(体を)躱す」「さしかふ」

           -かへす(躱へす)「(身を)ひるかへす」

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「かふ(肯ふ)」

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か( )-かふ(肯ふ)-かへす(肯へす)-かへする「うけがふ」

 

 「かへす、かへする」にはそれぞれ「がへんず、がへんずる」の強調形がある。

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名詞   かぶ(頭 )-かぶく(傾ぶく)-かぶける

           -かぶす(傾ぶす)-かぶさす-かぶさせる「wuなかぶす頸傾」

                    -かぶさる-かぶされる

                    -かぶせる-かぶせらる-かぶせられる

           -かぶる(被ぶる)-かぶらす-かぶらせる

           -かむる(被むる)

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「かむ(噛む)、かぶ(黴ぶ)」

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か( )-かむ(噛む)-かます(噛ます)-かませる

           -かまる(噛まる)-かまれる

           -かもす(醸もす)

           -かぶる(噛ぶる)「(劇場の)かぶりつき」

           ~しがむ(し噛む)(シ接)

           ~いがむ(い噛む)(啀む)「いがみあふ啀合」(イ接)

    -はむ(歯む)(「かむ」の (k-h)相通形)(食む)「かりはむ刈、もりはむ」

    -かぶ(黴ぶ)-かびる(黴びる)「かび黴」

           -かぶる(黴ぶる)-かぶれる「(漆に)気触れる」

           -かぼす(黴ぼす)

 

 穀類や果物類を噛んで発酵させていたとされることに鑑み、「かむ」と「かぶ」を並べてみたもの。

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「かゆ(離ゆ)、かる(離る)」

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か( )-かゆ(離ゆ)

    -かる(離る)-からす(離らす)「めかる目離」

           -かれる(離れる)

           ~あかる(あ離る)(ア接)

           ~さかる(さ離る)(サ接)「とほさかる(遠ざかる)」

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「かる(枯る)、かる(涸る)」

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か( )-かる(枯る)-からす(枯らす)-からせる「かるし/かろし軽し」《からから》

           -からぶ(枯らぶ)-からびる「ひからびる干乾*干涸」

           -かるぶ(軽るぶ)

           -かれる(枯れる)(涸れる)

           -かろぶ(軽ろぶ)

           -かろむ(軽ろむ)

           ~すがる(す枯る)(末枯る)

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「かる(枯る)」

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か( )-かる(枯る)-からす(枯らす)-からせる(涸る)「かるし/かろし軽」「からから」

           -からぶ(枯らぶ)-からびる「ひからびる干乾」

           -かるぶ(軽るぶ)

           -かれる(枯れる)

           -かろぶ(軽ろぶ)

           -かろむ(軽ろむ)

           ~すがる(す枯る)(末枯る)(ス接)

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