動詞図『カ行、「キ動詞まとめ」』(026)

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「きしきし(模写)」(kisi/ks)

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名詞         -きしむ(軋しむ)-きします-きしませる《きしきし》

                    -きしめく

           -きしる(軋しむ)-きしろふ(争い競う)

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「き/く/こ(来)、きす(来す)、くゆ(来ゆ)、くる(来る)、こす(来す)、こる(来る)」

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か( )

き(来)-きす(来す)-きさす(来さす)-きさせる「きた(来た)」

く(来)-くゆ(来ゆ)

    -くる(来る)「やって来る」

け( )

こ(来)-こす(来す)-こさす(来さす)-こさせる(遣す)「よこす(寄遣)」

    -こる(来る)-こらる(来らる)-こられる

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「きそふ(競そふ)、きほふ(競ほふ)」(kisohu/ksh/kihohu/khh)

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           -きそふ(競そふ)-きそはす-きそはせる(新撰字鏡、11世紀仏典、太平記)

           -きほふ(競ほふ)-きほはす-きほはせる(万葉集、9世紀仏典、源氏物語)

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「きだ(段)、くづ(砕づ)、くゆ(崩ゆ)、けづ(削づ)、こづ(傾づ)」

(kida/kd/kudu/kd/kuyu/ky/kodu/kd/kidamu/kudaku/kudasu/kudusu/kuduhu/kuduru/keduru/kodaru/kd)

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き( )-きだ(段 )-きだむ(段だむ)(「きざむ刻」は「きだむ」の(d-z)相通語)「きだ段、みきだ三段」

く( )-くづ(砕づ)-くだく(砕だく)-くだかる-くだかれる「くづ屑、おがくづ、のこくづ鋸屑」

                    -くだける

           -くだす(降だす)-くださる-くだされる

           -くだつ(降だつ)

           -くだる(下だる)

           -くづす(崩づす)-くづさる-くづされる

           -くづふ(崩づふ)-くづほる-くづほれる

           -くづる(崩づる)-くづれる

    -くゆ(崩ゆ)「くye崖」

け(削)-けづ(削づ)-けづる(削づる)-けづらる-けづられる「ゆげ弓削、けづりかけ」

こ( )-こづ(傾づ)-こだる(傾頽る)「ゑみこだる笑興、をれこだる折傾」

           -こづむ(偏づむ)

 

 「きだ/きざ(段*寸)、やきだ八段、きだきだ、きだむ;きざきざ、きざはし階、ときのきざみ漏刻」

 「くだくだ」

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「き(際)、きふ(極ふ)、きむ(決む)、きる(極る)」(ki/kihu/kh/kimu/km/kiru/kr)

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き(極)-きふ(極ふ)-きはむ(極はむ)-きはまる「きは際、きはどし際どシ、きはみ極」

                    -きはめる

           -きはる(極はる)「たまきはる玉、としきはる年」

    -きむ(決む)-きまる(決まる)「きめつく」

           -きめる(決める)-きめらる-きめられる

    -きる(極る)「きり限」

 

「はへきは生際、みづきは/みなきは水際、わかれきは別際」

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 今日の”決断する、決定する”意の動詞「きむ-きまる/きめる」は、あれこれ悩んでいてついに”どん詰まりに来た”が本来の意味と考えられる。どん詰まり(きわ際、きわみ極)に来たために右か左か決めざるを得なくなって、”決定する”の意味が生まれてきた。

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「きよ(清よ)、けや(尤や)、こよ(清よ)」(kiyo/keya/koyo/ky)〔(ky)縁語群〕

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名詞  -きよ(清よ)-きよむ(清よむ)-きよまふ-きよまはる「きよし清、きよみづ清水」

                    -きよまる

                    -きよめる

    -けや(尤や)「けや/けやか/けやけし」

    -こよ(清よ)「こよなし」

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 すがすがしい状況を言う(ky)縁語群である。「こよなし」は、殆ど耳にすることのない語であるが、戦後間もなく大流行したサトウハチロー作詞の歌謡曲”長崎の鐘”で「こよなく晴れた青空を悲しと思うせつなさよ・・」と歌われたことで記憶している人も多い。この語は、日本人であれば教えられなくとも耳にしただけでピンとくるであろう。それまでに聞いたことがなくても(ky)の響きから直ちに今日一般的な「きよ清」に導かれるからである。「けや」についても同様である。

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「きる(鑚る)、きる(錐る)」(kiru/kr)

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き( )-きる(鑚る)「(火)きり、ひきりうす火鑚臼、ひきりきね火鑚杵」《きりきり》

    -きる(錐る)「きり鑚*錐」

 

 この「きる」は、細い木の丸棒を両の手の平で挟んできりきり回して火を熾したり木に穴を開けたり、また翡翠などの貴石に穴をあけることを言っているであろう。”火を起す、穴を開ける”である。

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