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● ● ≪たたた≫ ● ●
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「た/つ/て/と(手)、たく(手く)、たぬ(手ぬ)、たむ(手む)、だく(抱く)、つく(築く)、つく(突く)、あつ(当つ)、うつ/むつ/ぶつ(打つ)、つる(手る)、とぬ(手ぬ)、とぬ(音ぬ)、とふ(問ふ)、とぶ(弔ぶ)、とむ(覓む)、とゆ(音ゆ)、どゆ(音ゆ)、とる(音る)」
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た(手)-たく(手く)=たたく(叩たく)-たたかす-たたかせる-たたかせらる-たたかせられる
-たたかふ-たたかはす-たたかはさす-たたかはさせる(戦ふ)
-たたかはせる
-たたかる-たたかれる
-たくす(手くす)「(髪や袖を)たくしあげる」
-たくむ(巧くむ)「たくまし快シ、たくみ巧*匠」
-たくる(企くる)-たくらむ
-たぐる(手ぐる)(「くる繰」のタ接とも)
-たける(長ける)〔長ずる、上手である〕
-たぬ(手ぬ)=たたぬ(畳たぬ)-たたなふ-たたなはる「くり畳たぬ」「たたなづく」
-たむ(手む)=たたむ(畳たむ)-たたます-たたませる-たたませらる-たたませられる
-たたまる-たたまれる
だ(手)-だく(抱く)-だかす(抱かす)-だかせる-だかせらる-だかせられる
-だかる(抱かる)-だかれる
ち( )
つ(手)-つく(突く)=つつく(突つく)-つつかす-つつかせる
-つつかる-つつかれる
-つかす(突かす)-つかせる
-つかふ(使かふ)-つかはす-つかはせる「「つかひめ使女、みつかふつみ身使罪*徒罪」
-つかはる-つかはれる
-つかむ(掴かむ)-つかます-つかませる「つか束/柄」
-つかまふ-つかまへる
-つかまる-つかまれる
-つかる(突かる)-つかれる
-つくる(作くる)-つくらす-つくらせる
-つくらふ-つくろはす-つくろはせる(繕ふ)
-つくらる-つくられる
-つくろふ-つくろはす-つくろはせる(繕ふ)
~きづく(築づく)-きづかす-きづかせる(キ接)
-きづかる-きづかれる
~こづく(小突く)-こづかる-こづかれる(コ接)
~どつく(ど突く)-どつかる-どつかれる(ド接)
-つぶ(粒ぶ)-つぶす(潰ぶす)-つぶさる-つぶされる
-つぶる(潰ぶる)-つぶれる
-つむる(瞑むる)-つむらす-つむらせる
-つむ(抓む)-つます(抓ます)-つまさる-つまされる
-つませる-つませらる-つませられる「つめ爪」
-つまむ(抓まむ)-つまます-つまませる
-つままる-つままれる
-つまる(詰まる)-つまらす-つまらせる
-つめる(詰める)-つめらる-つめられる
-つる(手る)〔魚を”釣る”は”吊る”ではなく、”つる/とる(手る/取る)”と解する〕
~あつ(当つ)-あたく(当たく)「あたかも当*恰」(ア接)
-あたふ(与たふ)-あたはす(能はす)「あたひ値」
-あたへる-あたへらる-あたへられる(与へる)
-あたる(当たる)
-あてる(当てる)-あてらる-あてられる
~うつ(打つ)-うたす(打たす)-うたさす-うたさせる(ウ接)
-うたさる-うたされる
-うたせる-うたせらる-うたせられる
-うたふ(歌たふ)-うたはす-うたはせる「うた歌」
-うたはる-うたはれる
-うたへる-うたへらる
〔強調形〕-うったふ-うったへる-うったへらる-うったへられる
〔強調形〕-うるたふ(ラ入)
-うたる(打たる)-うたれる
~むつ(鞭つ)「むち鞭」〔(&-m)相通語〕(ム接)
~ぶつ(打つ)-ぶたる(打たる)-ぶたれる〔(m-b)相通語〕(ブ接)
~おつ(音つ)-おとぬ(音とぬ)-おとなふ「おと音、おとなふ音*訪}(オ接)
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づ(手)~いづ(い手)-いぢく(苛ぢく)-いぢくる(イ接)
-いぢける《いぢいぢ》
-いぢむ(苛ぢむ)-いぢめる-いぢめらる-いぢめられる
-いぢる( )
~こづ(こ手)-こぢる(抉ぢる)(コ接)
~すづ(す手)-すぢる( )「すぢりもぢり撚曲」(ス接)
~ねづ(ね手)-ねぢる(捩ぢる)「ねぢまげる」(ネ接)
~もづ(も手)-もぢる( )「すぢりもぢり撚曲」(モ接)
~よづ(よ手)-よぢる(捩ぢる)(ヨ接)
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て(手)
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と(手)-とぬ(手ぬ)=ととぬ(整とぬ)-ととのふ-ととのへる
-とる(手る)-とらす(取らす)-とらせる-とらせらる-とらせられる「みとらし御執*御弓」
-とらふ(捕らふ)-とらはる-とらはれる「とらへひと囚徒*囚人」
-とらへる-とらへらる-とらへられる
-とらむ(捕らむ)-とらまふ-とらまへる
-とらる(取らる)-とられる
-とれる(取れる)
~あとる(あ手る)-あつらふ-あつらへる(誂らふ)(ア接)
ーあとらふ-あとらへる(誂らふ)
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と(音)-とぬ(音ぬ)-となふ(唱なふ)-となへる
-とふ(問ふ)-とはす(問はす)-とはせる-とはせらる
-とはる(問はる)-とはれる
~あとふ(あ問ふ)〔誘う、勧める〕(「さどふ」の(s-&)相通形)(ア接)
~かどふ(か問ふ)-かどはす(勾引ふ)(カ接)
~さどふ(さ問ふ)(サ接)
~たとふ(た問ふ)-たとへる(喩とふ)(タ接)
~つどふ(つ問ふ)(集どふ) 「かむつどひつどふ神集」(ツ接)
~まどふ(ま問ふ)-まどはす-まどはせる-まどはせらる-まどはせられる(惑どふ)
~やとふ(や問ふ)-やとはす-やとはせる(雇ふ)(ヤ接)
-やとはる-やとはれる
-とむ(覓む)-とめる(覓める)「ともし/とぼし乏、つまし倹」(ともし/とぼし-ともしぶ/とぼしぶ)
~いどむ(い覓む)-いどます-いどませる
-いどまる-いどまれる(挑む)(イ接)
~みとむ(み覓む)-みとめる-みとめらる(認む)(ミ接)
~もとむ(も覓む)-もとまる(求む)(モ接)
-もとめる-もとめらる-もとめられる
-とぶ(弔ぶ)-とぶる(弔ぶる)-とぶらふ/とむらふ(弔ふ)
-とゆ(音ゆ)-とよく(響よく)
-とよむ(響よむ)-とよめく(鳴動)
-とよもす
-どゆ(音ゆ)-どよむ(響よむ)-どよめく
-どよもす
-とる(音る)=とどる(轟どる)-とどろく(轟く)-とどろかす
-とどろこす
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「て(手)」をめぐる動詞群である。「て手」の渡り語「た/つ/て/と」をもとにした動詞系の語が集まっている。「たたく、つつく」などの頭積動詞、「当たる、歌ふ」などの接頭語のついた前接語、強調の濁音の一拍語「づ」などさまざまな語形が見られる。
「つ(手)」については、「つ爪(つめ)」をもとにする二拍動詞「つく突」「つぬ抓」「つむ抓」などの交錯が見られる。
「と(手)」は、手でものを「とる(手る/取る)」意と、拍手をすることと拳でこつこつと叩いて音を立てる意のふたつがあるように思われる。「おと(音)」はオ接語で、本来は手を叩いて出る音を一拍語「と(手*音)」で捉えていたと考えている。
手を「うつ(打つ)」、手を「たたく(叩く)」ことと「うたふ(歌ふ)」の間には動作の種類としては大きな距離があるが、「心を打つ」がある。「うたふ」は人の心を打つことが本来の意味と考えられる。後に「うったふ」「うるたふ」と強調形があらわれた。
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「たか(高か)、たく(長く)」(tk)
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名詞 たか(高か)-たかむ(高かむ)-たかまる「たかし高」
-たかめる
-たかぶ(高かぶ)-たかぶる
た( )-たく(長く)-たける(長ける)
また「たか/たけ(竹)、たけ(岳)、たけ(丈)」がこの(tk)縁語と見られる。
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「たく(集く)、つく(付く)、とく(着く)」(tk)
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た( )-たく(集く)-たかる(集かる)-たからす-たからせる「強請り」
-たからる-たかられる
~すだく(す集く)〔鳥や虫が集まる〕(ス接)
-たす(足す)~ひたす(ひ足す)(養す)(ヒ接)
-たぬ(畳ぬ)=たたぬ(畳たぬ)-たたなふ-たたなはる「くりたたぬ繰畳」
-たむ(足む)=たたむ(畳たむ)-たたます-たたませる「ゆふだたみ(木綿畳)」
-たたまる-たたまれる
-たまる(溜まる)-たまらす-たまらせる
-ためる(溜める)-ためらる-ためられる
-たる(足る)-たらす(足らす)-たらせる
-たらふ(足らふ)-たらはす
-たりる(足りる)
~とだる(と足る)(ト接)
つ( )-つく(付く)=つづく(続づく)-つづかす-つづかす-すづかせる
-つづける
-つかす(付かす)-つかせる
-つかぬ(束かぬ)-つかねる(「つか束」の動詞化とも)
-つかふ(付かふ)
-つかむ(掴かむ)-つかまふ-つかまへる
-つかまる-つかまれる
-つかる(憑かる)-つかれる「(とり)憑かる」
-つける(付ける)-つけらる-つけられる(点火)
~あづく(あ付く)-あづかる(預かる、与かる)「あづき(あづきなし)」(ア接)
-あづける-あづけらる-あづけられる
~かづく(か付く)(被く)(カ接)
~くつく(く付く)(くっつく-くっつける)(ク接)
~なつく(な付く)-なつかす-なつかしむ(懐く)「なつかし懐」(ナ接)
-なつかせる
~ひつく(ひ付く)(ひっつく-ひっつける)(ヒ接)
-つぐ(継ぐ)-つがす(継がす)-つがせる-つがせらる-つがせられる「いひつぐ言継」「つぎ次」
-つがふ(番がふ)-つがへる「つがひ番」「(矢を弓に)つがへる」
-つがる(連がる)-つがれる
-つぎつ(継ぎつ)
-つぐる(告ぐる)
-つげる(告げる)-つげらる-つげられる
~とつぐ(と継ぐ)-とつがす-とつがせる(嫁ぐ)(ト接)
~みつぐ(み継ぐ)-みつがす-みつがせる(貢ぐ)(ミ接)
す( )-すぐ(次ぐ)-すがふ(縋がふ)(t-s相通形)
-すがる(縋がる)「すがりつく縋付、おひすがる、とりすがる」
-つつ(伝つ)-つたぬ(伝たぬ)「いひつつ言伝」「つて伝手、ことづて言伝」
-つたふ(伝たふ)-つたはる
-つたへる-つたへるら-つたへられる
-つな(綱 )-つなぐ(繋なぐ)-つながる-つながれる
-つなげる
-つふ( )~まつふ(纏つふ)-まつはす-まつはせる(マ接)
-まつはる
~まつぶ(纏つぶ)-まつばる(マ接)
-まつべる
-つむ(積む)=つつむ(包つむ)-つつます-つつませる「つつみ堤」「ゆふづつみ(木綿包)」
-つつまる-つつまれる
-つます(積ます)-つませる-つませらる-つませられる
-つまる(積まる)-つまれる「かむづまる(神留)」
-つめる(積める)-つめらる-つめられる
-つもる(積もる)-つもらす-つもらせる
~あつむ(あ積む)-あつまる(集む)(ア接)
-あつめる
~うづむ(う積む)-うづまる(埋む)(ウ接)
-うづめる-うづめらる-うづめられる
-うづもる-うづもれる
~まつむ(ま積む)(纏む)(マ接)
~まつぶ(ま積ぶ)(纏ぶ)(マ接)
-つる(連る)=つづる(綴づる)-つづろふ「ももつづり百綴」
-つらす(連らす)-つらさす
-つらさる-つらされる「つるぎ剣、つるべ釣瓶」「つらら氷柱」
-つらせる
-つらぬ(連らぬ)-つらなる
-つらねる-つらねらる-つらねられる
-つらふ(連らふ)-つらはす-つらはせる
-つらぶ(連らぶ)
-つらる(釣らる)-つられる
-つるす(吊るす)-つるさす-つるさせる
-つるさる-つるされる
-つるぶ(連るぶ)「つるび遊牝」
-つるむ(連るむ)
-つれる(連れる)-つれらる-つれられる
-つろふ(連ろふ)
~まつる(ま連る)-まつらる-まつられる(祭る)(マ接)「まつり祭、まつりごと政」
-まつらふ
-まつろふ(服ふ/順ふ)
~もつる(も連る)-もつれる(縺る)(モ接)
と( )-とく(着く)=とどく(着どく)-とどかす-とどかせる(届く)
-とどける-とどけらる
-とぬ(調ぬ)=ととぬ(調とぬ)-ととのふ-ととのへる
-ととのほる
-とむ(止む)=とどむ(止どむ)-とどまる-とどまらす-とどまらせる「とみ富」
-とどめる
-とます(富ます)-とませる
-とまる(止まる)-とまらす-とまらせる
-とめる(止める)-とめらる-とめられる
-ともる(滞もる)=とどもる
~しとむ(し止む)-しとめる(仕留)(シ接)
~まとむ(ま止む)-まとまる(纏む)(マ接)
-まとめる-まとめらる-まとめられる
~まとふ(纏ふ)-まとはす-まとはせる
~まとぶ(纏ぶ)
~yiとむ(yi止む)-yiとめる(射止む)(yi接)
人が集まり、互いに連なって、ひとところにとどまる姿を言っている。ここに「祭り、まつりごと(政治)」が入ってくるのが驚きでもあり了解でもある。和語の体系性の高さには改めて驚かされる。
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「たく(猛く)」(tk)
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た( )-たく(猛く)-たけぶ(猛けぶ)「たけし(猛シ)、たけだけし(猛々シ)」「をたけび雄叫」
-たける(猛ける)「たけりくるふ(猛狂)」
-さけぶ(叫けぶ)(t-s相通形)
~あたく(あ猛く)(叫く)(ア接)
~わたく(わ猛く)(叫く)(w-&相通形)(ワ接)
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「たく(焚く/炊く)」(tk)
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た( )-たく(焚く)-たかす(焚かす)-たかせる「たきぎ焚木、たきび焚火」「飯を炊く」
-たかる(焚かる)-たかれる
-たける(焚ける)
「たきぎ焚木*薪、たきまつ/たいまつ松明/たひ手火;いざりたく、ふせやたく、ゐりたく」
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「たぐ(滾ぐ)」(tg)
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た( )-たぐ(滾ぐ)-たぎつ(滾ぎつ)
-たぎる(滾ぎる)-たぎらす「煮へ滾る」
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「たぐ(似ぐ)」(tg)
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た( )-たぐ(似ぐ)-たぐふ(似ぐふ)-たぐはる「たぐひ(類)」
-たぐばる
-たうばる〔似る〕
-たぐへる
類語に「そぐふ」がある。
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「たぐ(食ぐ)」(tg)
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た( )-たぐ(食ぐ)-たげる(食げる)
「あひたげ相食/あひたげひと相食人、米だにも’たげ’て通らせ」
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「たぐる(吐ぐる)」(tg)
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-たぐ(吐ぐ)-たぐる(吐ぐる)
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「ただす(質だす)、たづす(携づす)、たづぬ(尋づぬ)、たどる(辿どる)」(td)
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た( )-たづ( )-ただす(質だす)-たださす-たださせる「ただし(正シ)」
-たださる-ただされる
-たづす(携づす)-たづさふ-たづさはる(携はる)
-たづさへる
-たづぬ(尋づぬ)-たづねる-たづねらる-たづねられる「たづたづし」
-たどる(辿どる)-たどらす-たどらせる「たどたどし」
-たどらる-たどられる
記紀万葉語である。どの語も意味するところは比較的はっきりし、それで文意も通るのであるが、語としてはよく分らない。語頭の「た」はおそらく「手」で、「たづさふ」「たどる」は「手をとる」と考えられるが、そこまでである。
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「たつ(立つ/発つ)」(tt)
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た( )-たつ(立つ)-たたす(立たす)-たたせる-たたせらる-たたせられる
-たてる(立てる)-たてらる-たてられる「建てる」
~すだつ(す立つ)(巣立つ)(ス接)
~そだつ(そ立つ)-そだてる-そだてらる-そだてられる(育つ)(ソ接)
~ひだつ(ひ立つ)(肥だつ)(ヒ接)
つ( )-
て( )-
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だ(出)-だす(出す)-ださす(出さす)-ださせる
-ださる(出さる)-だされる
-だせる(出せる)
づ(出)~いづ(い出)-いだす(い出す)「いづみ(出水*泉)」(イ接)
で(出)-でる(出る)-でらる(出らる)-でられる
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「たつ」には、言うまでもなく、”起立”の意とともに”出発”の意があり、和語では区別されていない。今日もほとんど無意識に両用されている。”旅に出る”である。「すだつ(巣立つ)」も”巣から出る”意ととることができる。ただ「た」に渡り語の「つ」「て」が残っていない点が気になる。
これを手掛かりに、この「たつ」が後の濁音拍語である「だ、づ、で(出)」のもとの語と考えるが、特に無理はなさそうである。「いづみ泉」は不詳語であるが、「つ(水)」が「つ→みづ→み」と変化した最終形であるところと、「つ」の方もイ接語「いづ」という後世形であることと合ってくる。実年代は不明である。さらに「いづみ」は「泉」とは無関係で、「いづも(出雲)」の縁語であるとする見方もある。
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「たつ(絶つ)、たふ(絶ふ)、たゆ(絶ゆ)、つく(尽く)、つふ(潰ふ)、つゆ(潰ゆ)」
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た(絶)-たつ(絶つ)-たたす(絶たす)-たたさる-たたされる
-たたせる
-たたふ(絶たふ)
-たたる(絶たる)-たたれる
-たふ(絶ふ)-たへる(絶へる)
-たゆ(絶ゆ)-たやす(絶やす)-たやさる-たやされる
-たyeる(絶yeる)
~とだゆ(と絶ゆ)-とだyeる(途絶ゆ)(ト接)
~もだゆ(も絶ゆ)-もだyeる(悶ゆ)(モ接)
つ(尽)-つく(尽く)-つかす(尽かす)-つかさる-つかされる
-つかせる
-つかる(尽かる)-つからす-つからせる(疲る)
-つかれる(疲れる)
-つきる(尽きる)
-つくす(尽くす)
-つくる(尽くる)
-つふ(潰ふ)-つひゆ(潰ひゆ)-つひやす「つひ終、つひのすみか終棲」
-つひyeる
-つゆ(潰ゆ)-つyiゆ(潰yiゆ)-つyiやす
-つyiyeる
-つゆる(潰ゆる)
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「たつ(経つ)」(tt)
--
た( )-たつ(経つ)
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た( )-たづ(爛づ)=ただる(爛だる)-ただれる(爛れる)
-たでる(爛でる)
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「たとふ(譬とふ)、たとゆ(譬とゆ)」
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たとふ(譬とふ)-たとへる-たとへらる-たとへられる「たとひ、たとへ」
たとゆ(譬とゆ)-たとyeる
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「たはけ(戯け)、たぶ(誑ぶ)/なぶ(嬲ぶ)、たる(誑る)、とる(蕩る)」
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名詞 たは(戯は)-たはく(戯はく)-たはける「たはけ、うしたはけ、うまたかけ、たはし戯シ」
-たはす(戯はす)-たはしる
-たはぶ(戯はぶ)-たはぶる-たはぶれる
-たはむ(戯はむ)-たはむる-たはむれる
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た( )-たぶ(誑ぶ)-たぶる(誑ぶる)-たぶらく-たぶらかす「くなたぶれ」
-たぶらす
-たぶろく-たぶろかす
-たほろく-たほろかす
-たぼろく-たぼろかす
な( )-なぶ(嬲ぶ)-なぶる(嬲ぶる)「ひとなぶり」(t-n相通形)
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た( )-たる(誑る)-たらく(誑らく)-たらかす「たるし、かたるし、けたるし、ひたるし、またるし」
-たらす(誑らす)「たらしこむ誑込、をんなたらし女蕩」
-たるむ(誑るむ)
だ( )-だる(蕩る)-だらく(蕩らく)-だらける「だるし」「だらしなし(だらしがいっぱい)」
-だれる(蕩れる)
と( )-とる(蕩る)-とらく(蕩らく)-とらかす
-とらす(蕩らす)
-とれる(蕩れる)「みとれる(見蕩)」
-とろく(蕩ろく)-とろかす「とろとろ」
-とろける
-とろむ(蕩ろむ)-とろめく
~まどろむ(マ接)
-とろる(蕩ろる)-とろろく
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「たふ(堪ふ)、たゆ(堪ゆ)、たふ(称ふ)」
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た( )-たふ(堪ふ)=たたふ(た堪ふ)-たたへる-たたへらる-たたへられる(堪ふ、湛へる)
-たふる(堪ふる)
-たへる(堪へる)-たへらる-たへられる
~あたふ(あ堪ふ)
~いたふ(い堪ふ)-いたはる(い+たふ堪/耐)
~こたふ(こ堪ふ)-こたへる(こ+たふ堪/耐)
~こたゆ(こ堪ゆ)-こたyeる
~こらふ(こ堪ふ)-こらへる(t-r)相通語
~こらゆ(こ堪ゆ)-こらyeる
-たゆ(堪ゆ)=たたゆ(湛たゆ)-たたyeる
-たyeる(堪yeる)
-たふ(称ふ)=たたふ(称たふ)-たたへる〔すぐれる、霊妙である〕「たへ妙」
敵の攻撃や困難に対して「もちこたへる」の中の「たへる」である。
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「たむ(賜む)、たぶ(賜ぶ)」
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た( )-たむ(賜む)-たまふ(賜まふ)-たまはる
-たまる(賜まる)
-たもる(賜もる)
~のたむ(の賜む)-のたまふ-のたまはる(「のりたまふ」の形も)(ノ接)
-たぶ(賜ぶ)-たばす(賜ばす)
-たばふ(賜ばふ)-たばはる
-たばる(賜ばる)
〔-たべる(食べる)-たべらる-たべられる〕
〔-たべす(食べす)-たべさす-たべさせる〕
~のたぶ(の賜ぶ)-のたばふ(ノ接)
「なむ(嘗む)、たぶ(食ぶ)」と合体することができるかも知れない。
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「たむ(嘔む)」
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た( )-たむ(嘔む)-たまふ(嘔まふ)「むかたむ」
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「たむ/だむ(彩む)」
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た( )-たむ/だむ(彩む)「だみ絵、薄だみ、金だみ」
語の意味は、日国によれば「あざやかに彩色する。いろどる。また、金箔、銀箔をはる」である。
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「たむ(矯む)」(tm)
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た( )-たむ(矯む)-ためす(矯めす)-ためさる-ためされる(試す)「角を矯めて牛を殺す」
-ためる(矯める)-ためらふ(躊躇ふ)
現在では「たむ」単独で使われることはなさそうであるが、「ためつすがめつ、角を矯めて牛を殺す」のような成句を残しているところを見れば、かつては多岐にわたって使われたのではないかと思われる。そうとすれば、上図のように語形がぴったり当てはまり、意味も何となく近く感じられる「ためす」と「ためらふ」を置いてみたい。
日国「ためす(試す)」の語源説欄には「竹木の折れるか否かをタメ(撓)試みるところから〔大言海〕」、また「ためらふ(躊躇う)」には「矯めて居る意か〔大言海〕。タメル(矯)の義〔名言通〕」が見られる。これらによって上図を作ってみたもの。
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「たる(垂る)」(tr)
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た( )-たる(垂る)=たたる(祟たる)-たたらる-たたられる(祟る)
=ただる(爛だる)-ただれる(爛る)
-たらす(垂らす)-たらせる
-たれる(垂れる)
「たたる祟」と「ただる爛」を同じ二拍動詞「たる垂」の頭積動詞と見てみたもの。
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「たわ、とを 〔(tw)子音コンビ縁語群〕」(tw)
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名詞 たわ(撓wu)-たわむ(撓わむ)-たわめる「たわたわ-たわわ」
-たわる(撓わる)
たwu(撓wu)-たwuぐ(撓wuぐ)「たwu(撓wu)」「たwuげ峠」
たを(撓を)-たをむ(撓をむ)「たを(撓)」
-たをゆ(撓をゆ)-たをやぐ「たをやか」「たをたを」
-たをる(撓をる)
たわ:たわ(山の鞍部)
たwu:たwuげ(峠)
たを:たをり(山の鞍部)「かいたをり(掻撓)、たをやか、たをやぐ、たをやめ、ひぢたをる(曲撓)
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名詞 とゐ(撓ゐ)「とゐなみ撓波」
とゑ(撓ゑ)-とゑる(撓ゑる)-とゑらふ〔波がうねり立つ〕
とを(撓を)-とをむ(撓をむ)-とをめる「とを(撓*十)」「とをとを-とをを」
-とをゆ(撓をゆ)-とをゆる
-とをよる
-とをる(撓をる)-とをらふ
とゐ:とゐなみ(撓波)
とゑ:とゑなみ(撓波)
とを:とを(十<指を全部撓める>)、ひぢとをる(曲撓)
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このように(tw)縁語群を整列させることにより(tw)語が一目瞭然となった。大きな収穫のひとつは、和語数字の「とを/たwu(十)」が「(全部の指を)とをむ/たわむ」ことと判明したことである。両手の指をにぎってグーの形(「とを/たwu」の形)を作ることだったのである。因みに日国の語源説欄には「一ツから九ツまでの終わりであるところから、ツヲ(津尾・筒尾)の転〔和訓栞・紫門和語類集・言葉の根しらべ=鈴江潔子・大言海〕」説が見える。
◆------------
不詳:一時置き
-つる(吊る)-つらる(吊らる)-つられる
-つく(捏く)-つくぬ(捏くぬ)-つくねる「つくね捏」
◆------------
● ● ≪ちちち≫ ● ●
◆------------
「ち(小*近*禿)、つ(箇*粒*潰)」
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ち(小)-ちく(小く)=ちぢく(縮ぢく)-ちぢかむ-ちぢかまる「ちかし近」「うち内/うつ内(ウ接)」
-ちぢくる-ちぢくれる
-ちぢこむ-ちぢこまる
-ちふ(小ふ)「ちひ、ちひさし(小さし)」
-ちぶ(禿ぶ)-ちびる(禿びる)〔「(鉛筆の芯が)擦り減る」「小便を’ちびる’」〕
-ちむ(小む)=ちぢむ(縮ぢむ)-ちぢまる「ちぢみ縮」
-ちぢめる
-ちる(小る)=ちぢる(縮ぢる)-ちぢらす-ちぢらせる(散る)
-ちぢれる
-ちらく(散らく)-ちらかす-ちらかさる-ちらかされる
-ちらかせる
-ちらかる
-ちらける
-ちらす(散らす)-ちらさる-ちらされる
-ちらせる「しがらみちらす、なきちらす、ゐちらす」
-ちらふ(散らふ)
-ちらぶ(散らぶ)-ちらばる-ちらばらす-ちらばらせる
し(小)-しく(縮く)=しじく(縮じく)-しじかむ-しじかまる(縮かむ)(t-s相通形)
-しむ(縮む)=しじむ(縮じむ)-しじまふ(進退)「しじみ蜆」
-しじまる(縮まる)
-しじめる
-しる(縮る)=しじる(縮じる)-しじれる(縮れる)
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つ( )-つづ(約づ)-つづむ(約づむ)-つづまる「つづ/すず(星)、ゆふつづ/ゆふすず夕星」
-つづめる
-つづる(綴づる)-つづろふ
-つぶ(粒ぶ)-つぶす(粒ぶす)-つぶさす-つぶさせる(潰ぶす)「つぶ粒」
-つぶさる-つぶされる
-つぶる(粒ぶる)-つぶらす-つぶらせる(瞑る)
-つぶれる
-つぼむ(壺ぼむ)-つぼます「つぼ壺」「つぼ坪」
-つぼまる
-つぼめる
-つむ(粒む)=つづむ(約づむ)-つづまる
-つづめる-つづめらる-つづめられる
-つむる(瞑むる)-つむらす-つむらせる(瞑る)
-すぶ(窄ぶ)-すぼむ(窄ぼむ)-すぼます-すぼませる(t-s相通形)
-すぼまる
-すぼめる-すぼめらる-すぼめられる
す( )-すず(縮ず)「すず鈴」(t-s相通形)
-すぶ(窄ぶ)-すぼむ(窄ぼむ)-すぼまる
-すぼめる
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小さいことやものが集約されているタ行渡り語「ち/つ」である。類似の「こ(小)」、「を(小)」語との意味的、系統的関係の解明が待たれる。
上図の「ちふ(小ふ)」は説明のできない「ちひさし」を導くために作ってみたもの。「ち”ひ”さし」には対語「お”ほ”きし」があり、この二語に限って意味不明のハ行音が入る。
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● ● ≪つつつ≫ ● ●
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「つか(束)」
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名詞 つか(束 )-つかぬ(束かぬ)-つかねる-つかねらる-つかねられる「つか束、つか塚、つかさ阜
-つかむ(束かむ)-つかまふ-つかまへる(掴む)
-つかまる-つかまれる
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「つ/つめ(爪)、つく(突く)、つく(捏く)、つつ(嘰つ)、つぬ(抓ぬ)、つぶ(粒)、つむ(抓む)、つる(吊る)」 突く・撞く・搗く
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つ(爪)-つく(突く)=つつく(突つく)-つつかす-つつかせる「(餅を)搗く、つきめ舂女、きつつき啄木鳥」
-つつかる-つつかれる
-つかす(突かす)-つかせる
-つかる(突かる)-つかれる
~こづく(小突く)(コ接)
~どつく(ど突く)(ド接)
-つく(捏く)-つくぬ(捏くぬ)-つくねる「つくね捏」
-つぬ(抓ぬ)-つねる(抓ねる)-つねらる-つねられる「つの角」
-つぶ(粒ぶ)-つぶす(潰ぶす)-つぶさる-つぶされる
-つぶる(潰ぶる)-つぶれる
-つむる(瞑むる)-つむらす-つむらせる
-つむ(抓む)-つます(抓ます)-つまさる-つまされる
-つませる-つませらる-つませられる「つめ爪」
-つまむ(抓まむ)-つまます-つまませる
-つままる-つままれる
-つまる(詰まる)-つまらす-つまらせる
-つめる(詰める)-つめらる-つめられる
-つる(吊る)-つらる(吊らる)-つられる
「つ爪」や「きね杵」をもとにする縁語群である。タ行渡り語「た/つ/て/と(手)」の中の「つ」との交錯がある。
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「つく(啄く)」
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つ( )-つく(啄く)=つつく(つ啄く)「きつつき啄木鳥」
-つつ(嘰つ)-つつす(嘰つす)-つつしる(嘰る)-つつしろふ〔少しづつ食べる〕
-つむ(噛む)〔前歯で噛る〕
鳥が口で「つく、つつく」である。人が「つ爪/て手」で「突く」こととの整理をしたい。
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「つく(付く)」
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つ( )-つく(付く)=つづく(つ着く)-つづける-つづけらる(付く)(続く)
-つける(着ける)
~あづく(預づく)-あづかる(ア接)
-あづける
~なつく(な着く)(懐く)(ナ接)「なつかし懐」
-つぐ(継ぐ)-つがす(継がす)-つがせる〔「たぐ(類ぐ)-たぐふ」と縁語〕
-つがふ(番がふ)-つがへる
-つがる(継がる)-つがれる
-つげる(告げる)
~とつぐ(と継ぐ)(嫁ぐ)(ト接)
~みつぐ(み継ぐ)(貢ぐ)(ミ接)
-つつ(伝つ)-つたふ(伝たふ)-つたはる
-つたへる
-つる(連る)=つづる(綴づる)-つづらる-つづられる
-ゆづろふ
-つらす(連らす)
-つらぬ(連たぬ)-つらなる
-つらねる
-つらる(連らる)-つられる
と( )-とく(着く)=とどく(と着く)-とどける(届く)
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す( )-すく(次く)-すかふ(次かふ)「うちすかふ打次」(t-s相通)
-すぐ(次ぐ)-すがふ(縋がふ)
-すがる(縋がる)-すがらる-すがられる「すがりつく縋付、おひすがる、とりすがる」
-すげる(挿げる)
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「(魚を)釣る」は「つる(吊る)」より「とる(取る)」の異形と見る。
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「つく(築く)」
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つ( )-つく(築く)-つかふ(使かふ)-つかはす「つか(塚)」
-つかはる
-つかへる-つかへらる-つかへられる
-つかむ(掴かむ)-つかます-つかませる
-つかまふ-つかまへる
-つかまる-つかまれる
-つくる(作くる)-つくらす-つくらせる
-つくらる-つくられる
-つくろふ
~きづく(築づく)-きづかる-きづかれる(キ接)
「て(手)」の縁語群とも交錯する。
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「つく(漬く)」
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つ(水)-つく(漬く)-つかす(漬かす)「つけもの漬物」
-つかる(漬かる)
-つける(漬ける)-つけらる-つけられる
-つぐ(注ぐ)
~ひつ(ひ漬)-ひたす(漬たす)-ひたさる-ひたされる(浸す)《ひたひた》(ヒ接)
-ひたる(漬たる)
-ひてる(漬てる)
~ひづ(ひ漬)-ひづつ(漬づつ)(m3969他)(ヒ接)
-ひづる(漬づる)
「みづ(水)」の祖形である「つ(水)」の動詞化と考えられる。
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「つく(吐く)」
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つ( )-つく(吐く)-つかす(吐かす)-つかせる-つかせらる-つかせられる
-つかる(吐かる)-つかれる
-つける(吐ける)
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「つく/つき(調)」」
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つ( )-つく(調く)-つくぬ(調くぬ)-つくなふ(償ふ)
-つぐなふ(償ふ)
-つくのふ
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「つつ(嘰つ)」(tt)
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つ( )-つつ(嘰つ)-つつす(嘰つす)-つつしる(嘰る)-つつしろふ〔少しづつ食べる〕
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「つはく、つはる」(th)
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名詞 つは(唾 )-つはく(凸はく)-つはくむ〔芽が出る〕
-つはる(凸はる)「つはり悪阻」
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「つと(夙)」(tt)
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名詞 つと(夙 )-つとむ( )-つとまる(勤まる、務まる)
-つとめる(勤める、努める)
不詳語である。日国「つとに」の語源説欄にある「ツトはツトメ(勤)の略〔万葉集類林・和訓栞・言葉の根しらべ=鈴江潔子・日本語源=賀茂百樹〕」をもとに作ったもの。
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「つむ(紡錘)」(tm)
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名詞 つむ(紡錘)-つむぐ(紡むぐ)-つむがす-つむがせる
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「つむ(噛む)」(tm)
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つ( )-つむ(噛む)〔前歯で噛る〕
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● ● ≪ててて≫ ● ●
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「てく(照く)、てる(照る)」
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て( )-てく(照く)-てかる(照かる)《てかてか》
-てる(照る)-てらす(照らす)-てらさふ 「あまてらす天照、てるてる坊主」《てらてら》
-てらさる-てらされる
-てらふ(衒らふ)-てらはす
-てりす(照りす)~いてりす(酡す:霊異記中序)〔顔が赤くなる〕(イ接)
-てれる(照れる)
~ほてる(頬照*火照)(ホ接)
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● ● ≪ととと≫ ● ●
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「とく(解く/溶く/説く)」(tk)
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と( )-とく(解く)-とかす(解かす)-とかさる-とかされる「ときあく、ときあらふ洗、ときかふ交」
-とかせる-とかせらる-とかせられる
-とかる(解かる)-とかれる
-とくる(解くる)
-とける(解ける)
-とこふ(詛こふ)
~くどく(く説く)-くどかす-くどかせる(ク接)
-くどかる-くどかれる
~ほどく(ほ解く)-ほどかす-ほどかせる(ホ接)
-ほどかる-ほどかれる
-ほどける
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「とぐ(砥ぐ)、とす(聡す)」(to)
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と(鋭)-とぐ(砥ぐ)-とがる(尖がる)-とがらす-とがらせる「とし(聡シ)」
-とがむ(咎がむ)-とがめる-とがめらる-とがめられる「とが咎」
-とす(聡す)~さとす(諭す)-さとさす-さとさせる「さとし(聡シ)」
-さとさる-さとされる
~さとる(覚る)-さとらる-さとられる
「といし砥石」「とかま」「とげ棘(と鋭+け毛)」「とし(尖し/利し/聡し)」
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「とぐ(遂ぐ/伽ぐ)」(tg)
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と( )-とぐ(遂ぐ)-とがす(遂がす)-とがせる「そひとぐ添遂」
-とげる(遂げる)「よとぎ夜伽」
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「とづ(閉づ)」(td)
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と( )-とづ(閉づ)-とだす(閉だす)((d-z)相通語「とざす閉」)
-とぢむ(閉ぢむ)
-とぢる(閉ぢる)-とぢらる-とぢられる
-とづる(閉づる)
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「とぶ(飛ぶ)、とる(飛る)」
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と(飛)-とぶ(飛ぶ)-とばす(飛ばす)-とばせる「つばさ翼、とび/とんび鳶、とんぼ蜻蛉」
-とべる(飛べる)
-とる(飛る)「とり鳥」
一拍語「と」で「鳥」と「飛ぶ」を表わした原初の時代から、「と」が長語化して「とぶ飛」と「とる飛」に分化したが、その後飛翔を言う語は「とぶ」に限られた。「とる飛」の方は、その名詞形「とり」を残したものの動詞としての「とる飛」は何らかの理由で消滅したと考えられる。
「つばさ(翼)」「つばめ(燕)」の「つば」は、「とぶ」の縁語と考えられる。
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「とほす(通ほす)、とほる(通ほる)」(th)
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とほ(遠 )-とほす(通ほす)-とほさす-とほさせる「とほし(遠シ)」
-とほさる-とほされる
-とほる(通ほる)-とほらす-とほらせる「はひもとほる這」
-とほらる-とほられる
-とほれる
~もとほす(廻す)(モ接)
~もとほる-もとほろふ「はひもとほる-はひもとほろふ」
~たもとほる-たもとほろふ(タ/モ接)
形容詞「とほし遠」がこの「とほす/とほる」の縁語とすると、「遠し」は本来”遠方”を意味せず、障害物か何かを通り抜けた先にあるところ程度の遠さを意味することになる。
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完