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● ● ≪ややや≫ ● ●
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「や(彌)、yiつ(斎つ)yiふ(斎ふ)、yiむ(斎む)yiゆ(癒ゆ)、yiる(言る)、ゆす(結す)ゆふ(結ふ)、ゆむ(斎む)yeふ(結ふ)、yeる(選る)よく(善く)よる(選る)」
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や(彌)~いや(い彌)(イ接)
yi(斎)-yiつ(斎つ)「yiがき斎垣、yiくし斎串」「yiし(良し)→yiい(良い)」「おyiしい(お良しい)」
-yiふ(斎ふ)-yiはく(斎はく)(言ふ)
-yiはす(言はす)-yiはさる-yiはされる(言ふ)
-yiはせる-yiはせらる-yiはせられる
-yiはふ(祝はふ)-yiははる-yiははれる(結はふ、祝ふ)「yiはひまつ忌待」
-yiはゆ(言はゆ)「いはゆる所謂」
-yiはる(言はる)-yiはれる「yiはれ謂」
-yiむ(斎む)-yiます(斎ます)-yiましむ-yiましめる(「yiむ」ようにさせる)
-yiまふ(斎まふ)「yiまはし、yiまyiまし(忌々シ)」
-yiまむ(斎まむ)
-yiもふ(斎もふ)
-yiゆ(癒ゆ)-yiやす(癒やす)-yiやさる-yiやされる
-yiyeる(癒yeる)
-yiる(言る)-yiらふ(答らふ)-yiらへる
ゆ(結)-ゆす(結す)-ゆすふ(結すふ)「まゆすひ真結m4427」
-ゆふ(結ふ)-ゆはく(結はく)〔言ふ〕「ゆひ結、かみゆひ髪結」
-ゆはす(結はす)-ゆはせる
-ゆはふ(結はふ)-ゆははる-ゆははれる
-ゆはへる-ゆはへらる-ゆはへられる
-ゆはる(結はる)-ゆはれる
~むゆふ(む結ふ)〔これが「もやふ(舫ふ)」に転じたか〕
-ゆむ(斎む)-ゆまふ(斎まふ)-ゆまはる
-ゆまむ(斎まむ)
~いゆ(癒ゆ)-いやす(癒やす)-いやさる-いやされる(イ接)
-いyeる(癒yeる)
ye(結)-yeふ(結ふ)「かたyeふ方結」「yeひ結」「yeし(良し)→yeえ(良え)」
ye(善)-yeる(選る)-yeらふ(選らふ)「yeらし偉し(選らシ)」
-yeらぶ(選らぶ)-yeらばす-yeらばせる(”善い”ものをとり分ける)
-yeらばる-yeらばれる
よ(善)-よく(善く)-よける(善ける)(”善い”ものをとり分ける)「よこ横」
-よる(選る)-よらす(選らす)-よらせる
-よろふ(選ろふ)「とりよろふ」
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ここで「yeる」「よく」「よる」の間にまったく意味が逆のような「よく(避く/除く)-よける」が入ってくることに注意したい。考えて見れば「yeる」「よる」も「よく」も同じことを言っているであろう。よいものを取り上げるのも、よいものを取り除くのも、それを敵に渡さないという趣旨では同じことになるであろうからである。(nk)縁語の「のける退」と「のこす残」の関係とよく似ている。
よ(選)-よく(避く)-よかす(避かす)-よかせる-よかせらる
-よきる(避きる)「よこ横、よきぢ/よきみち避道」
-よける(除ける)(除*止*選*避)
-よす(止す)
-よる(選る)
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名詞 よろ(善良) -よろこぶ-よろこばす-よろこばせる-よろこばせらる-よろこばせられる(よろし)
-よろこばふ
-よろこばる-よろこばれる
-よろこぼふ
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「よい」ことを言うヤ行渡り語(や/yi/ゆ/ye/よ)である。「や/yi/ゆ/ye/よ」の五拍はどれも「よい」ことを言っている。今日ごく普通に日々使われる二拍動詞「yiふ/ゆふ(言ふ)」も、その本意は「良いことを言う」である。
や:何かをプレゼントされて「いやいや、有難う」と言うときの「いやいや」はもちろん「嫌々」ではなく上記の「い彌い彌」で、喜んでいる。
yi:「yiふ(言ふ)」は、ハネ動詞に「yiはふ(祝ふ)」があるように、「祝賀をyiふ」が本来であろう。悪口を「yiふ」てはならないのである。「yi(良)」の形容詞形が「yiし」で、それに接頭語「お」がついて「おyiし→おyiしい」となった。関東弁「yiい、yiいよ」、関西弁「yeえ、yeえで、yeえよ」と土地によって使い分けている。
ゆ:「ゆふ(言ふ)」「yiふ」は互いに異形である。
ye:「yeる(選る)-yeらぶ(選ぶ)」ば、言うまでもなく「良いものを選り分ける」ことでなければならない。「よる(選る)」も同じで、雑多なものの中から良いものをとり出す意である。何かを勧められて「いye、いye、いいye、結構です」と辞退するようなときの「いye、いいye」は上記のような位置づけにあり、本当は喜んでいると解さざるを得ない。
よ:「よ」が良いことの代表語である。無意味の接尾語「ろ」をとって「よろ」の形で「よろし」「よろこぶ」などと多用されている。ところでその「よろこぶ」が由来不明の難語である。
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「や(矢)/yi(射)/ゆ(弓)/よ(射)、やぶ(矢ぶ)、やる(矢る)、yiく(射く)、yiる(射る)、ゆく(弓く)、ゆむ(弓む)、よる(射る)」
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や(矢)-やぶ(矢ぶ)-やぶく(破ぶく)-やぶかる-やぶかれる
-やぶける
-やぶる(破ぶる)-やぶらる-やぶられる
-やぶれる
-やる(矢る)-やらす(矢らす)-やらせる「やり槍、やるかやられるか(殺る)」
-やらふ(矢らふ)
-やらる(矢らる)-やられる「やれこも破薦、やれま破間/壊」
yi(射)-yiく(射く)-yiくふ(射くふ)「yiくさ軍*戦、yiくは的;まとyi的射、おひものyi追物射」
-yiす(射す)-yiさす(射さす)-yiさせる
-yiゆ(射ゆ)「yiゆししの射猪」
-yiる(射る)-yiらる(射らる)-yiられる
ゆ(弓)-ゆく(弓く)-ゆくふ(弓くふ)「ゆがら弓幹、ゆくは的」
-ゆむ(弓む)「ゆみ弓」
ye( )
よ(射)-よる(射る)
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ヤ行渡り語「や/yi/ゆ/よ」によって”弓矢や槍を用いて敵を殺す”という一連の攻撃行動を言っているであろう。和人はこのように外敵と戦い、鳥獣を獲得してきた。二拍動詞「やぶ(矢ぶ)」は問題なしとしないが、他にもって行くところがなく、とりあえずここに置いておく。
「やる」は、矢や槍で殺すという意味である。つまり「やり槍」は「やる殺」の名詞形である。今日でも「やるかやられるか」という表現には”殺すか殺されるか”という覚悟が含意されている。なおここでは二拍語「ゆみ弓」の語を理解するため、二拍動詞「ゆむ(弓む-弓で射る)」の存在を想定している。
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「やく(焼く)、やす(痩す)、やつ(窶つ)、やむ(病む)」
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や( )-やく(焼く)-やかす(焼かす)-やかせる「やけど火傷」
-やかる(焼かる)-やかれる
-やける(焼ける)
-やす(痩す)-やせる(痩せる)(「やさかむ〔瘦せ衰える〕」の形も)「やせところ磽地」
-やつ(窶つ)-やつす(窶つす)
-やつる(窶つす)-やつれる
-やむ(病む)=ややむ(や病む)「やまし病シ、やみしし病猪、えやみ、さむやみ、わらはやみ童病」
-やまふ(病まふ)
-やもふ(病もふ)
~なやむ(な病む)-なやます-なやまさる-なやまされる(悩む)(ナ接)
-なやませる-なやませらる-なやませられる
ゆ( )-ゆむ(病む)-ゆまふ(病まふ)「ゆまひ/あたゆまひ熱病*急病」
~なゆむ(な病む)
いささか問題含みであるが、全体をヤ行渡り語として捉えてみたもの。
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「やす(安す)、いゆ(癒ゆ)」
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や( )-やす(安す)-やすむ(休すむ)
-やする(安する)-やすらふ-やすらへる
ゆ( )~いゆ(癒ゆ)-いやす(癒やす)-いやさる-いやされる(イ接)
-いyeる(癒yeる)
二拍動詞「いゆ(癒ゆ)」がイ接語であることは確実で、問題は「ゆ」が何かということになる。ひとつの試みである。
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「やす(唆す)」(ys)
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や( )-やす(唆す)~あやす(寝かす子を”あやし”て亭主叱られる)(ア接)
~そやす(褒め”そやす”)(ソ接)
~どやす(類語に「どなる」がある)(ド接)
~はやす(やんやと「はやす(囃す)」)(ハ接)
これら前接語四語から声を上げてあれこれ言い立てる意の二拍動詞「やす」の存在が認められる。
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「やづ(屋づ)、ゆづ(譲づ)」(yd)
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や(屋)-やづ(屋づ)-やどす(宿どす)-やどさる-やどされる
-やどる(宿どる)-やどらす-やどらせる
ゆ( )-ゆづ(譲づ)-ゆだぬ(委だぬ)-ゆだねる-ゆだねらる-ゆだねられる
-ゆづる(譲づる)-ゆづらす-ゆづらせる-ゆづらせらる-ゆづらせられる
-ゆづらふ
-ゆづらる-ゆづられる
子音コンビ(yd)をもつ動詞には「やどす、ゆだぬ、ゆづる、ゆでる、よぢる、よどむ」などがあるが、このうち「ゆだぬ」と「ゆづる」の二つは、どちらも物事の処置や判断を他人に任せることを言っている点で共通し、両者は(yd)縁語であると判断される。日国の「ゆだねる」の語源説欄に「ユヅル(譲)から出た語か〔国語の語根とその分類=大島正健〕」が見える。また「ゆづる」の語源説欄には「ユダヌ(委)に通ず〔大言海〕」とある。ここでは「やどる」もひと晩我身を”ゆだねる”意と見ておく。”子を宿す”という言い方もあるところから、「やど」を単なる「宿、宿屋」とみることはできそうにない。
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「やは(和)」
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名詞 やは(和 )-やはす(和はす)
-やはる(和はる)-やはらぐ-やはらげる
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「やむ(止む)、よす(止す)」
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や( )-やむ(止む)-やまふ(止まふ)(已む)
-やまる(止まる)
-やめす(止めす)-やめさす-やめさせる
-やめる(止める)-やめらる-やめられる
よ( )-よす(止す)
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「やる(遣る)、yiく(行く)、yiぬ(去ぬ)、しぬ(死ぬ)、ゆく(行く)、おゆ(老ゆ)、よむ(老む)」
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や(行)-やる(遣る)-やらす(遣らす)-やらせる-やらせらる-やらせられる
-やらる(遣らる)-やられる
yi(行)-yiく(行く)-yiかす(行かす)-yiかせる-yiかせらる-yiかせられる
-yiかる(行かる)-yiかれる
-yiぬ(去ぬ)-yiなす(去なす)-yiなせる-yiなせらる-yiなせられる(往ぬ)
-yiなる(去なる)-yiなれる
し(死)-しぬ(死ぬ)-しなす(死なす)-しなせる-しなせらる-しなせられる((y-s)相通)
-しなる(死なる)-しなれる
-しねる(死ねる)
ゆ(行)-ゆく(行く)-ゆかす(行かす)-ゆかせる
-ゆかる(行かる)-ゆかれる
~おゆ(老ゆ)-おyiる(老yiる)「おyiらく(老yiらく)」(オ接)
-おゆる(老ゆる)
-およす(老よす)-およすく
よ(老)-よむ(老む)=よよむ(よ老む、倚よむ)m762
どこかへ”行く”、或いは”帰る”ことを言うヤ行縁語群である。これでは「しぬ(死ぬ)」が軽く感じられ、二次的な語であるところに不満が残るかも知れない。しかし(y-s)相通形はたいへん例が多い。また往時は「yiく」も「ゆく」も「yiぬ」もそれこそ片道しか考えられない困難な道行を言ったものかもしれない。「おゆ(老ゆ)」の存在とよく符合する。「yiく(行く)-yiぬ(去ぬ/往ぬ)、しぬ(死ぬ)、ゆく(行く)-おゆ(老ゆ)」である。
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「やる(揺る)、yiぶ(揺ぶ)、yiる(揺る)、ゆく(揺く)、ゆぐ(揺ぐ)、ゆす(揺す)、ゆつ(揺つ)、ゆふ(揺ふ)、ゆぶ(揺ぶ)、ゆむ(揺む)、ゆる(揺る)、yeゆ(揺る)、よく(揺く)、よぐ(揺ぐ)、よふ(揺ふ)、よぶ(揺ぶ)、よむ(揺む)、よる(揺る)」
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や(揺)-やる(揺る)「やららに」
yi(揺)-yiぶ(揺ぶ)~あyiぶ(歩yiぶ)(ア接)
-yiる(揺る)-yiるく(揺るく)-yiるかす-yiるかせる「yiるかせ/ゆるかせ(忽せ)」
-yiるぐ(揺るぐ)-yiるがす-yiるがせる「yiるがせ/ゆるがせ(忽せ)」
ゆ(揺)-ゆく(揺く)-ゆかす(揺かす)「ゆき雪」
~あゆく(あ歩く)-あゆかす(ア接)
-ゆぐ(揺ぐ)~あゆぐ(あ歩ぐ)-あゆがす
-ゆす(揺す)-ゆさふ(揺さふ)-ゆさはる《ゆさゆさ》
-ゆさぶ(揺さぶ)-ゆさぶる-ゆさぶらる
-ゆすぐ(揺すぐ)
-ゆすぶ(揺すぶ)-ゆすぶる
-ゆする(揺する)-ゆすらる-ゆすられる
-ゆつ(揺つ)-ゆたふ(揺たふ)~たゆたふ(タ接)
-ゆふ(揺ふ)~かゆふ(通ゆふ)(カ接)
~たゆふ(た揺ふ)「たゆたに、たゆたふ、たゆらに/たよらに」(タ接)
~まゆふ(迷ゆふ)(マ接)
-ゆぶ(揺ぶ)~あゆぶ(あ歩ぶ)(ア接)
-ゆむ(揺む)~あゆむ(あ歩む)-あゆます-あゆませる(ア接)
~あゆまふ
~たゆむ(た弛む)「倦まずたゆまず」(タ接)
名詞 ゆら(揺ら)~もゆら(も揺ら)「もゆらに」
-ゆる(揺る)-ゆらく(揺らく)-ゆらかす-ゆらかせる「ゆり百合、たまゆら玉響」「ゆらゆら」
-ゆらぐ(揺らぐ)-ゆらがす-ゆらがせる
-ゆらす(揺らす)-ゆらさす-ゆらさせる
-ゆらさる-ゆらされる
-ゆらせる
-ゆらふ(揺らふ)-ゆらへる
-ゆらゆ(揺らゆ)-ゆらyeる
-ゆらる(揺らる)-ゆられる
-ゆるく(揺るく)
-ゆるぐ(揺るぐ)-ゆるがす-ゆるがせる(忽せ)
-ゆるす(揺るす)-ゆるさる-ゆるされる(許す)
-ゆるふ(揺るふ)-ゆるほす「ゆるほし縦シ」
-ゆるほふ
-ゆるぶ(揺るぶ)
-ゆるむ(揺るむ)-ゆるます-ゆるませる(緩む)
-ゆるまる
-ゆるめる-ゆるめらる
~くゆる(薫ゆる)-くゆらす-くゆらせる(「くゆらかす」の形も)(ク接)
~さゆる(さ揺る)-さゆるぐ(サ接)
-ゆれる(揺れる)
ye(揺)-yeゆ(揺る)
よ(揺)-よく(揺く)~あよく(あ歩く)(ア接)
~およく(お泳く)(オ接)
-よぐ(揺ぐ)~およぐ(お泳ぐ)-およがす-およがせる(オ接)
~およげる
-よつ(揺つ)-よたる(揺たる)「よたよた」
-よふ(揺ふ)~かよふ(通よふ)-かよはす-かよはせる「いさよふ」「きかよふ来」(カ接)
~たよふ(た揺ふ)=ただよふ漂-ただよはす(タ接)
~まよふ(迷よふ)-まよはす-まよはせる(マ接)
~さまよふ(サ/マ接)
~まよふ(紕よふ)「まよひく紕来、まよひまじる、たがひまよふ」(マ接)
-よぶ(揺ぶ)~あよぶ(あ歩ぶ)(ア接)
~およぶ(お及ぶ)-およばす(オ接)
~およぼす-およぼさる-およぼされる
-よむ(揺む)=よよむ(揺よむ)〔よぼよぼになる〕「百歳に老い舌出でてよよむとも(m762)」
~あよむ(あ歩む)(ア接)
-よる(揺る)-よろく(揺ろく)-よろける「よろよろ」「なゐよる(田居揺)」
-よろふ(揺ろふ)-よろほふ
-よろぶ(揺ろぶ)-よろぼふ(蹌踉)
「ゆらゆら」と揺れることにまつわる語の総覧である。和語では揺れることは一拍語「や/yi/ゆ/ye/よ」とそれが動詞語尾をとった語、さらにそれらがさまざまな接頭語をとった語で表現される。「y」音である。上記の三拍動詞「あゆむ歩、およぐ泳、およぶ及、かよふ通、たゆむ弛、まよふ迷」など一見それとは気づかないが、これらは力いっぱい行為を行うのではなく、脱力的な動きであることを示している。「ゆき雪」もおそらくゆらゆら落ちてくる点を捉えているのであろう。
顕宗前紀に「たなそこも”やらら”に」とあるが、この「やらら」について時代別上代編は「手に巻ける玉も”ゆらら”に」(万3243)の「ゆらら」と同様の語で、音がさやかに鳴るさまをいうか」としている。おそらくその通りで、筆者も同意見である。ただ音だけでなく、ゆらゆらと揺れる様子を強調しているであろう。そうとすれば、上記の「ゆる」「よる」と並んで縁語の二拍動詞「やる(揺る)」が存在していることになる。「やむ(揺む)」も使われたか。
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● ● ≪yiyiyi≫ ● ●
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「yiがむ(歪がむ)、ゆがむ(歪がむ)」
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-yiぐ( )-yiがむ(歪がむ)
-ゆぐ( )-ゆがむ
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● ● ≪ゆゆゆ≫ ● ●
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「ゆ(湯)、ゆづ(湯づ)」
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ゆ(湯)-ゆづ(湯づ)-ゆだる(茹だる)
-ゆでる(茹でる)-ゆでらる-ゆでられる
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「ゆづ(煠づ)」
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ゆ( )-ゆづ(煠づ)
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● ● ≪yeyeye≫ ● ●
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「yeる(縒る)、よる(縒る)」
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ye(縒)-yeる(縒る)
よ(縒)-よる(縒る)-よれる(縒れる)「よりいと撚糸」
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● ● ≪よよよ≫ ● ●
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「よ(寄)、よす(寄す)、よる(寄る)」
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よ(寄)-よす(寄す)-よさす(寄さす)-よさせる
-よさる(寄さる)
-よする(寄する)
-よせる(寄せる)-よせらる-よせられる
-よそふ(装そふ)-よそはす-よそはせる-よそはせらる-よそはせられる「きよそふ着」
-よそはる-よそはれる
-よそほす
-よそほふ「よそひ装-よそほひ装、ふなよそひ舟装*艤装」
-よそほる
-よそる(寄そる)-よそらす-よそらせる
-よそらる-よそられる「よそりつま寄妻」
-よる(寄る)-よらす(寄らす)-よらせる
-よらふ(寄らふ)
-よらる(寄らる)-よられる
-よろふ(鎧ろふ)-よろほふ「よろひ鎧-よろほひ鎧)
~いよる(い寄る)(イ接)
~かよる(か寄る)(カ接)
~たよる(た寄る)-たよらる-たよられる「たより便」(タ接)
~とよる(と寄る)(ト接)
「よろひ鎧」と言えば、言うまでもなく、戦場で敵の矢や槍、刀剣などによる攻撃に対して身を守るための木や皮や金属で作られた体を覆う防具である。この「よろひ」が、女の「よそひ-よそほひ(装い)」と「よ」縁語である。つまり「よそひ/よそほひ」は女の「よろひ」である。このことは上の動詞図を作ることによって明確となる。
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「よづ(攀づ)」
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よ( )-よづ(攀づ)「よぢかかる、よぢとる、よぢのぼる」
「よづ-よぢる(捩る)」とは別語であろう。
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「よぶ(呼ぶ)、よむ(読む)」
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よ(呼)-よぶ(呼ぶ)-よばす(呼ばす)-よばせる
-よばふ(呼ばふ)-よばはる「よばひ」
~さよばふ「さよばひ」(サ接)
-よばる(呼ばる)-よばれる
-よむ(読む)-よます(読ます)-よませる-よませらる-よませられる
-よまふ(読まふ)
-よまる(読まる)-よまれる
文字のない時代に「読む」と言えば、雲や潮の流れ、獣の足跡などで、”明日は雨だ”と読みとることが即ち「よぶ」であったであろう。このことと遠くにいる人に大声で呼びかけることを言うのは後の発展と見る。
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「よわ(弱わ)」
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名詞 よわ(弱わ)-よわむ(弱わむ)-よわまる「よわし弱」
-よわめる
-よわる(弱わる)-よわらす-よわらせる
不詳の(yw)語である。意味の近い「やはし(柔*和)」の(yh)語との混線があるのかも知れない。
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完