2019/09/19
 動詞図を描いていると「二拍動詞がない!」と気づくことがよくある。それは、例えば「またぐ(跨ぐ)」のように二拍名詞に動詞語尾がついたようなものは当然で、「まつ-またぐ」のような二拍動詞「まつ」は見つからない。...
2019/09/17
 堅いものを細かくすることを言う動詞は「くだく(砕く)」が代表的である。力まかせに叩き割ることで、和人は「k」と「d」の音に堅いイメージを抱いていたようである。子音ごとに語を振り分けて見るとそのように言うことが出来る。...
2019/09/17
か( )-かた(汚穢)「かたなし(汚シ)」 き( )-きた(汚穢)「きたなし(汚シ)」 く( )-くつ(朽つ)-くたす(朽たす)「朽ち果つ」「しほくつ塩朽」「言ひ朽す」            -くたつ(朽たつ)            -くたる(朽たる)-くたれる「ねくたる寝腐、みくたる身腐」            -くちる(朽ちる)...
2019/09/16
 「あは/さは」と「おほ」が(&h)縁語であることが妥当な見方であることに異論はないであろう。「あは」「さは」は(&-s)相通語で、例語は「あめ-さめ雨」「あを-さを青」など少なくない。「さは」はしばらくおいて、「あは」と「おほ」は明らかに(&h)縁語である。...
2019/09/16
はぶ 波布 はみ 蝮(まむし) ひご 籤(竹を細く裂いた籠材料) ひは 鶸/ひはほそ(足の細い鳥) ひび 罅(細い割目) ひま 暇(わずかの休み時間) ひも/ひぼ 紐(糸をより合わせた細い布) へび 蛇...
2019/09/16
わな罠(わなく絞;しぎわな鴫罠) あな穴(おとしあな落穴)...
2019/09/14
 人が鼻や口から吸い込んだり吐いたりする「き気」は、漢語でも「気(き)」であるが、これはれっきとした和語である。和語では「き気」は、「き」だけではなく、次に見るように「か/き/く/け/こ」の五段にわたっている。 |か|か/かをり香、かぜ風 |き|き酒/くろき黒酒/しろき白酒/みき神酒、きり霧、いき息 |く|いく生...
2019/09/13
 和語における”加熱・燃焼”語は、「たく(焚く/炊く)」と「やく(焼く)」に「むす/むる蒸」「もす/もゆ燃」であろうか。それらがどのように使い分けられていたかはなかなか難しい。ここでは後者のマ行渡り語をとり上げる。本来はマ行全段にわたって使われていたであろうが、今日判明しているのは火炎を伴わない「むす/むる」と燃焼させる「も」語である。以下ざっと動詞図を描いて見るが、注目すべきは多彩な前接語で、和語の中でおそらく最も多くの種類の接頭語をとる。 -- む(蒸)-むす(蒸す)-むさる(蒸さる)-むされる「むしむし」     -むる(蒸る)-むらす(蒸らす)            -むれる(蒸れる) め(燃)「めらめら」 も(燃)-もす(燃す)-もさる(燃さる)-もされる「もぐさ(艾*燃草)」     -もゆ(燃ゆ)-もやす(燃やす)-もやさる-もやされる            -もゆる(燃ゆる)            -もyeる(燃yeる) ぼ(燃)-ぼゆ「ぼや(小火)」 -- ア接:あぶ(焙ぶ)-あぶす(焙ぶす)          -あぶる(焙ぶる)-あぶらる-あぶられる「あぶら(油*脂)」 イ接:いぶ(焙ぶ)-いびる(焙びる)-いびらる-いびられる    いぶ(燻ぶ)-いぶす(燻ぶす)-いぶさる-いぶされる「いぶせし(鬱悒シ)」                   -いぶせむ「いぶせみ(悒憤)」          -いぶる(燻ぶる)-いぶらる-いぶられる ク接:くぶ(燻ぶ)-くばす(燻ばす)          -くばる(燻ばる)          -くぶす(燻ぶす)          -くべる(燻べる)-くべらる-くべられる クス接:くすぶ(燻すぶ)-くすぶる             -くすべる             -くすぼる     くすむ(燻すむ) フス接:ふすぶ(燻すぶ)-ふすぶる「ふすべ燻」(k-h相通形)             -ふすべる             -ふすぼる ケ接:けぶ(煙ぶ)-けぶす(煙ぶす)-けぶさる-けぶされる          -けぶる(煙ぶる)-けぶらす-けぶらせる    けむ(煙む)-けむす(煙むす)-けむさる-けむされる          -けむる(煙むる)-けむらす-けむらせる「けむり(煙)」 ス接:すぶ(煤ぶ)〔大穴牟遅神に対して鼠が言った「内はほらほら、外はすぶすぶ」の「すぶ」はこれか〕 ト接:とぶ(灯ぶ)-とぼす(灯ぼす)-とぼさる-とぼされる          -とぼる(灯ぼる)    とむ(灯む)-ともす(灯もす)-ともさる-ともされる(b-m相通形)          -ともる(灯もる) --  上に見るように、この燃焼を言うマ行/バ行渡り語は、全段にわたって存在した。そのそれぞれの一拍語が「あ」「い」「く」「くす/ふす」「け」「す」「と」と七つもの接頭語をとって実に華麗な燃焼語群を形成している。これまでの国語辞書ではばらばらに扱われている多くの語がここにきれいに整序された。  残るひとつ問題は、「はぶ-はぶる」の扱いである。これの類語に「(遺体を)はふる」があり、これを遺体を墓に埋葬して立ち去るほどの意とすると、「はぶる」は別語と見ざるを得ず、ここのハ接語「は+ぶ」(火葬する)の可能性が出てくる。だが今はこれ以上のことは言えず、「はふる」「はぶる」ともに、同語か別語かも含めて、不詳語として残すほかない。 完
2019/09/12
 地形語である標記の四語はどれも「□ま」という二拍の同一語形をなしている。何となく気になるが、例語が四語では量的に少なすぎてまとまった議論は難しい。それでもこれらの四語を単独でばらばらに眺めていてはなかなか考えが進まないところを、四語をまとめて見ることで辛うじて議論を進め、結論らしいものが得られるであろう。...
2019/09/11
 一拍語「ふ」は、さまざまな意味がある中で、”上から力が加わる/力を加える”という意味をもつ。具体的には、この「ふ」が動詞語尾「く」をとって「ふく」となると、家の屋根を草や樹皮で覆う「葺く」の意味をもつ。また動詞語尾「す」をとると「ふす(臥す)」となる。「ふむ(踏む)」となれば、これははっきりと上から力を加えることを示している。上から足を下ろしてその下にあるものを「踏む、踏みつける」意である。なお「ふむ」には「ほむ(践む)」という異形語の存在が知られている。最後は「ふる」でこれは間違いなく「降る」である。空から雨が”降っ”てくる。  ところでこの「ふ」は、動詞語尾をとるだけでなく接頭語をもとって自らの意味を拡張している。まず接頭語「お」をとって二拍動詞「おふ」となり、これが今日の「覆う」意味をもっていることはその後の長語化の過程を見ることによって確実である。「おふ」は力をもって抑えつけることであるが、まさに次の段階で「おほふ(覆う)」とともに「おほす(仰ほす)」をはね出している。「おほす」は「きみ君」のような有力者の下位者に対する発言を言っている。「おふ-おほす」は力による上からの”押しつけ”にほかならない。また接頭語「た」をとって「たふ(倒ふ)」が生まれた。今日の「たふす(倒す)、たふる(倒る)-たふれる(倒れる)」である。  この四語「ふく葺」「ふす臥」「ふむ踏」「ふる降」並びに「おふ覆」「たふ倒」の動詞図を作ってみると、下のようなきれいな図が描ける。余談にわたるが、これは無駄なくきっちりまとまったまことに日本的な美を見せているであろう。これはおそらく自然言語であるからこそ見られる現象で、自然は、風景もそうであるが、本来このような美しい仕組みをつくり上げるようにできている。このような形式美は、和語の全体を通して至るところで見られる。 -- ふ(力)-ふく(葺く)-ふかす(葺かす)-ふかさる-ふかされる                     -ふかせる            -ふかる(葺かる)-ふかれる     -ふす(臥す)-ふせる(臥せる)     -ふむ(踏む)-ふます(踏ます)-ふませる            -ふまる(踏まる)-ふまれる     -ふる(降る)-ふらす(降らす)-ふらせる            -ふらる(降らる)-ふられる オ接:ふ⇒おふ(覆ふ)-おほす(仰ほす)-おほさる-おほされる「おっしゃる」            -おほふ(覆ほふ)-おほはす-おほはせる                     -おほはる-おほはれる タ接:ふ⇒たふ(倒ふ)-たふす(倒ふす)-たふさる-たふされる            -たふる(倒ふる)-たふれる --  なお、上から力が加わってその結果下にあるものが”へこむ凹、へす、へる”のように「ふ」とともに渡り語をなす「は/ひ/へ/ほ」の存在が考えられるが、それらについてはここでは触れない。 完

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