2019/06/24
 身体部位語の「て(手)」は、もちろん渡り語のひとつで、理屈上は「た/ち/つ/て/と」と考えられる。しかし実際に和語の中にどのような形で潜んでいるのかはなかなか分かりづらい。将来的にはすべての「た」行語、語中に潜む「た」行語の分析が必須となるが、ここでは個人による片手間作業であり、そこそこの探索しかできていない。...
2019/06/13
 時、或いは時期、時刻、時間を言う和語については、別に「つき(月)」「とき(時)」などの(tk)縁語群について述べた。だが、和語には「つき」「とき」とは別にもうひとつ時を言う一群の語が存在するのである。それが標記の「さだ」「しだ」などの(sd)縁語群である。 1)...
2019/06/12
 標記のカ行渡り語は、着物を着たり、履物をを履いたり、太刀を帯びたりのように、何かを身に着けることを言う語群である。 -- か(着)-かく(着く)⇒はく     -かす(着す)     -かる(着る)-かれる(着れる)⇒はる き(着)-きす(着す)-きさす(着さす)            -きせる(着せる)...
2019/06/12
 標記の三拍動詞は、どれも一本の線で繋がっている。これらに共通するものは、内容としては「火」や「熱」であり、どれも加熱や燃焼現象のさまざまを言っているであろう。語としては、火や熱を意味する第二拍の「ぶ、べ、む、も」であり、これらが「燃える」ことを言う一拍語「も」の渡り語として標記の五語を貫いているのである。...
2019/06/09
 両の足を互い違いに前に蹴出して激しく移動することを言うカ行縁語群である。ゆっくり行くのは「あゆむ、あるく」で、これは別に扱った。一見して無理のない分かりやすい語群である。整然たる和人の頭の中を見る思いである。足を動かすので「し(足)」に絡むサ行語が予想されるが、そうはならなかった。 -- か(駆)-かく(駆く)-かくる(駆くる)...
2019/06/02
 和語では「丸い」ことを言う音(拍)は、マ行渡り語「ま、み、む、め、も」とその相通語「ば、び、ぶ、べ、ぼ」である。中でも「ま」が代表的で、下に見るように多くの動詞、名詞を作っている。...
2019/05/07
 万葉語に「ゆふだたみ(木綿畳)」「ゆふづつみ(木綿包)」なる語がある。たまたま目についたもので特別の意図はないが、両語はその語形から非常に近い関係にありそうに見える。事実時代別上代編にも「ゆふだたみ」と「ゆふづつみ」は「同じものというが、不詳」とある。ここではその意味はさておいて、辞書における両語のとり上げ方について考えて見たい。  時代別上代編も両語を別語として別々の見出し語としているが、これだけ似ている語をひとつに扱うことはできないか。そこで「ゆふだたみ」の「たたみ」は、二拍動詞「たむ」の頭積動詞「たたむ」の名詞形であり、「ゆふづつみ」の「つつみ」は二拍動詞「つむ」の頭積動詞「つつむ」の名詞形であることに気づく。そうとすれば「たむ」と「つむ」は互いに(tm)縁語動詞ということになる。ところでもうひとつ「たむ」「つむ」と意味のよく似た(tm)縁語動詞に「とむ」がある。「時代別上代編」ではまだ語の構成子音による縁語関係が知られておらず、「たむ」「つむ」「とむ」とそれらの派生語についての記述はばらばらである。しかるにこれら三語は、積み上がる、流れ来て止まるといった根本的な意味をもつタ行渡り語「た/つ/と」に立つ二拍動詞であり、「た/つ/と」に戻って意味や用法の記述がなされると極めて分かりやすくなるであろう。  これはほんの一例に過ぎないが、試みにこの三語の動詞図を作って見ると非常に綺麗な長語化過程を踏んでいることが分かる。いささか舌足らずであるが、将来的な国語辞典のひとつの形として、動詞図や縁語名詞をとり込んで記述を展開する方向があると思われる。 た(溜)-たむ(溜む)=たたむ(畳たむ)-たたます-たたませる「たたみ畳、ゆふだたみ木綿畳」                     -たたまる-たたまれる            -たまる(溜まる)            -ためる(溜める)-ためらる-ためられる つ(積)-つむ(積む)=つつむ(包つむ)-つつます-つつませる「つつみ包*堤、ゆふづつみ木綿包」                     -つつまる-つつまれる            -つます(積ます)-つませる-つませらる-つませられる            -つまる(積まる)-つまれる            -つめる(積める)            -つもる(積もる) と(止)-とむ(止む)=とどむ(止どむ)-とどまる「とみ富」                     -とどめる-とどめらる-とどめられる            -とます(富ます)            -とまる(止まる)            -とめる(止める)-とめらる-とめられる 完
2019/05/07
 さきに本ブログの『「いは(岩)」と「いへ(家)」』の項で「いは岩、いへ家、いほ/いほり廬」は”家”を意味するハ行渡り語「は、へ、ほ」のイ接語であることを述べた。...
2019/05/03
 辞書よれば「まづし貧」の本来の意味は「不十分である、足りない」ということのようである。例えば生計を営む上でまだまだ必要十分な資金や物資を得ていないこと言う。また、完成にはほど遠い、未完成である、ということも言っている。「まだ」十分でない、「まだし」、イ接語「いまだし」である。...
2019/05/03
 いわゆる形容詞「おほし多」「おほきし大」は、共に一拍語「ほ」に接頭語「お」のついたオ接語であることを「増補版」で指摘した。そして「ほ」には「火、穂、帆、秀」などが当てられる。「お(接頭語)+ほ(火、穂、帆、秀)」である。ところで「火、穂、帆」はどれも勢いよく高く立ちあがるもので、そこに共通性が感じられる。その共通性が「ひ、ほ(秀)」という抽象語であるであろう。これに従うと、「おほし」「おほきし」の本来の意味は、数量的なものではなく、「勢いがある、気高い、神々しい」あたりとしか考えられない。「おほし多」「おほきし大」は共に「おほ」語として、区別はなかったと考えられる。「おほくにぬし」の命は、多数の国の命とも大きな国の命ともとれるのである。  ところで、もうひとつ「多い」ことを言う古語に「あは」がある。「あはに/さはに」(「さはに」は &-s 相通語)の形で用いられる。この「あは」が「おほ」と(&h)縁語と考えることができるのである。つまり、「あ(接頭語)+は(多)」である。ということは、「多い、大きい」ということを原意とするハ行渡り語「は、ほ」があって、「は」は接頭語「あ」をとって「あは」となり、「ほ」は接頭語「お」をとって「おほ」となった、と考えるほかない。これはこれで理屈にかなうが、今のところ渡り語「は、ほ」の存在を突きとめることができない。いずれとも決め難く、宿題とするほかない。  さらに「ほ」は、上記のように「おほきし(大)」「おほし(多)」を表わすほか、古くから漢字「秀・火・穂・帆」が当てられているように、空高く立ち上るものや高みを志す和人の意気を表象する音であるであろう。  動詞としては「ほ(秀)-ほく-ほこる(誇る)」がある。  成句として「岩ほ」「垣ほ」「ほのほ(火の穂)」、「ほつ鷹(たか)」「ほつ手(て)」「ほつ真国(まくに)」「ほつ藻(め)」などが残されている。「ほね骨」は「ほ(秀)+ね(接尾語)」と考えられる。手足の長い骨の意で、頭蓋や腰骨は「ほね」ではない。  またこの「ほ」は「かほ(顔)」の「ほ」ではないかと考えられるのである。「か(接頭語)+ほ(秀)」である。従い「ほほ(頬)」は「かほ」の中の「ほほ(秀々)」である。こう見ると「かほ(顔)」を無理なく理解できるであろう。  次の大和の国にまつわるよく知られた歌についても理解が行く。 ほ-まほ-まほら-まほらま 「大和は国の摩倍邏摩(まほらま)畳なづく青垣山籠れる大和し麗し」     -まほろ-まほろば 「大和は国の麻本呂婆(まほろば)畳なづく青垣山籠れる大和し麗し」。完

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